
《ベイカー嚢腫とは》
膝関節の裏側にある滑液包に過剰に滑液が溜まることで滑液包が炎症を起こし膨らむ疾患です。
滑液とは、関節を包んでいる関節包の中にある滑膜と言う膜から分泌され、関節の潤滑油の役割をしている液体のことです。
この滑液があることで関節をスムーズに動かしたり、衝撃を吸収す事が出来ます。
名前に嚢腫とついていますが悪性の腫瘍ではありません。
特に中年の女性に多く発症します。
発症の初期段階では、自覚症状がほとんど見られない場合が多いです。
腫瘍が大きくなってくると以下のような症状が出てきます。
〈症状〉
∇膝裏の腫れ
∇膝裏の違和感、圧迫感、不快感
∇膝を曲げ伸ばしするときに、痛みや引っ掛かりを感じる
∇正座やしゃがむ姿勢がつらいなど
〈原因〉
・関節リウマチ
・痛風
・加齢による変形性膝関節症
・ランニングなどによる膝の使い過ぎ
・体重増加など
特に普段からよく運動する方や、立ち仕事が多い方は、膝への負担が大きいため、症状が出やすい傾向にあります。
また、嚢胞の中の液の量が急速に増えてると嚢胞が破裂してしまい、嚢胞から漏れ出た液によって急速に局所的な痛みや腫れを起こす場合があります。
さらに、膝の裏側を通っている血管がベーカー嚢胞に圧迫され血管性静脈炎を発症させることもあります。
日常生活では膝に負担の掛かりにくい歩き方や姿勢を保つことが大切です。
《症例1》
〇60代 女性
〇症状
・両膝裏の腫れ
・自転車をこいだ時や階段を降りるときに痛み
・歩いているときにたまに痛みが出る
・座ってから立ち上がる時に痛み
・足のむくみ
〇治療の経過
今回の治療では、
・両復溜
・両太白
・両内庭
・両絶骨
・両脾兪
・両承扶
・両承山
に治療を行った。
次の治療時では、前回の治療後は膝の痛みがは楽だったが、時間が経つにつれて治療前の痛みに戻ってきた。
その後も、治療を継続して行くことで膝裏の腫れや痛みなどの症状の改善がみられた。
現在も、定期的に治療を行っている。
《症例2》
〇40代 女性
〇症状
・ランニングをしていた時に膝内側と膝裏に痛み
・初めて痛みが出た時は膝が腫れていたが、腫れはだんだん落ち着いてきている
・正座など膝を曲げるときに膝裏に違和感
・走る時のみ膝に痛みが出る
・歩く、自転車に乗るなど日常生活に支障は出ていない
・階段を降りる時が怖い
・膝が痛みだしてからむくみが酷くなってる
〇治療の経過
今回の治療では、
・両足三里
・左申脈
・左承扶
・左承山
・左太白
へ治療を行った。
治療後では、治療前より足が軽くなって痛みもマシになっていた。
2回目の来院時でも、痛みの軽減がみられ患者様も喜ばれていた。
治療を続けることで、膝の痛みは軽減され短距離での軽いランニングができるようにまで症状の改善がみられた。
その後も、治療を続けている。