変形性股関節症による股関節痛と大腿前面の痛み、張りへの鍼灸治療の症例

《変形性股関節症とは》

変形性股関節症は、何らかの影響で股関節の軟骨がすり減り関節が変形することで痛みや、可動域の制限を起こす疾患です。

 

〈原因〉

 ・関節軟骨の老化

 ・肥満

 ・スポーツや肉体労働による過負荷

 ・先天性の股関節発育障害 など

 

変形性股関節症には、「一次性変形性股関節症」と「二次性変形性股関節症」の二種類があります。

「一次性変形性股関節症」は、原因ははっきりしていないが、加齢や関節の使い過ぎ(スポーツ、肉体労働)などで起こるものと考えられており、「二次性変形性股関節症」は、生まれつき寛骨臼(大腿骨頭を覆う骨盤側のくぼみ)が浅いこと(寛骨臼形成不全)などが原因で起こります。

 

〈初期症状〉

 ∇股関節の違和感、痛み

 ∇股関節の可動域の低下

 ∇股関節がなんとなく重い、だるい、突っ張る

 ∇股関節を動かすとコキコキ、ゴリゴリ音がする など

 

〈進行症状〉

 ∇痛みが強くなり、安静時にも痛みを感じることがある(持続痛、夜間痛など)

 ∇歩行が困難になる

 ∇階段の昇降が困難になる

 ∇正座やしゃがむことが困難になる

 ∇歩行時の痛みが強くなると引きずり足歩行(跛行)になる

 ∇長時間立ったり歩いたりすることがつらくなる

 ∇靴や靴下が履きにくくなる

 

進行しすぎると、日常生活にも支障が出てくるため予防として、適度な運動やストレッチ、バランスの取れた食事などを気を付けていくことが大切です。

 

〈症例〉

〇50代 女性

〇症状

 ・右大腿前面・外側の張り、痛み

 ・右股関節の痛み、詰まり感、足が上がりにくい

 ・階段の昇り、坂道の登りがしんどい

 

〇治療の経過

 今回の治療では、

  ・右帰来

  ・右血海

  ・右三陰交

  ・右足三里

  ・両腎兪

  ・両肝兪

  ・両膈兪

  ・右環跳

 へ治療を行った。

 次の治療時では、右大腿前面、側面の痛みは少し減っていた。

 その後も治療を続けていくことで、右大腿前面・側面の痛みや張り、股関節の痛みは減っており、階段の昇りや坂道の登りのしんどさも少しずつ改善がみられている。

 現在も定期的に治療を行い、症状の進行を予防している。