主訴
動作時の股関節の痛み
経過
20代女性、相手との激しい接触を伴うスポーツ中に、
右股関節に痛みを感じた。
3週間たっても痛みが取れず、歩くときにも痛みがあるため、
力を逃がすためにカラダが傾く。
医師の診断は股関節の捻挫。
証
来院時、起床時が一番痛く、さらに風邪が治りかけとのことで、
冷えが入った、と捉えました。
しかし寒痺の鍼で改善はみられませんでした。
次に、便通や舌の状態から、
脾の弱りによる関節の痛み、体重節痛として捉え、
太白に鍼をしたところ、
仰向けに寝て、足を引く動作の痛みが、かなり改善されました。
また、相手に体当たりされて倒れたのが契機ということを考え、
打撲への処置として、足の指先のツボ、井穴を押して痛みを確認し、
レイダに瀉法を行いました。
立って体重をかけた時の痛みがかなり軽減し、
小刻みな足踏みができるようになりました。
治療後の歩容はかなり改善しました。
考察
今回は、1回の治療の中で、証を複数検討し、
反応をみながら施術をしました。
5回治療を行いましたが、大会が迫っているため、
痛みがあっても練習を休むわけにいかず、緩やかな改善となりました。
また、6回目には、新たに足底筋膜炎になり、
その痛みが股関節の痛みを上回ったため、
そちらの治療を優先することとなりました。
今回の経験で、中医学の治療はアスリートの痛みにも
適用できることがわかりましたが、
新たな傷害に遭遇することは想定していませんでした。
アスリートならではの症例は、重要な経験となりました。