急性胃腸炎による下痢への鍼灸治療の症例

《急性胃腸炎とは》

急性胃腸炎は、胃や腸などの消化管の粘膜に細菌、ウイルス、寄生虫などが侵入したり、ストレスなどにより発症する急性の消化器疾患です。

 

〈原因〉

細菌感染

 主に食中毒で起こります。

 サルモネラ菌、病原性大腸菌、カンピロバクターピロリ菌、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌などが原因菌とされています。

ウイルス感染

 乾燥していて気温が低い冬の時期に感染しやすいのが特徴です。

 主にノロウイルス、ロタウイルス、アデノウィルスによって引き起こされます。

寄生虫

 アニサキスが代表的です。天然物のサバやハマチ、イカなどに寄生しており、生で食べることの刺身などでよく発生します。

 天然物を食べるときには、必ず加熱処理をするなど注意しましょう。

ストレス

 長期間にわたるストレスや精神的な負荷によって引き起こすことがあります。

 過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎などもストレスとの関係が指摘されている胃腸炎のひとつです。

 

〈症状〉

 ∇下痢 (1日に数回出ることもあります)

 ∇嘔吐 

 ∇腹痛

 ∇発熱

 などがあります。

 

 しかし、嘔吐や下痢が続くと水分が失われるため脱水症状を起こしてしまいます。その為、こまめな水分補給が大切になります。

 また、感染予防のために手洗いうがいも大切なので気を付けましょう。

 

 

《症例》

〇20代 男性

〇症状

 ・急性胃腸炎で下痢が続く

 ・病院での検査では、ノロウイルス陰性で原因が分からなかった

 ・熱も出ていたが、今は微熱になっている

 

〇治療の経過

 今回の治療では、

  ・中脘

  ・両陰陵泉(瀉)

  ・両合谷

  ・両脾兪

  ・両三焦兪

  ・両裏内庭(お灸)

 へ治療を行った。

 2,3回目は特に症状に変化は見られなかった。

 4回目には最初よりもトイレに行く回数が減り、飲んだ水分が小便として出るようになった。

 まだ、夜に下したり、お腹の張りが残っていた。

 その後も、数回治療を続けることにより、水様の便ではなく、形のある便が出るようになり、トイレに行く回数も1日1回に戻った。

 「早く治して頂けてとても助かりました!」と仰っていました。