《機能性ディスペプシアとは》
内視鏡検査で潰瘍や、癌などの器質的疾患を認めないにもかかわらず、
胃十二指腸由来の上腹部症状が長期間続く疾患のことです。
診断基準としては、胃十二指腸由来の上腹部症状である、
〇みぞおちの痛み
〇みぞおちの灼熱感
〇食後の胃もたれ
〇食事開始後の早期胃膨満感
の4つの症状のうち
1つ以上の症状がある事で、またその症状が辛いと感じ生活に影響するものです。
また、上記の症状が診断の6ヶ月以上前から出現し、症状が週に数回程度出現する事が3ヶ月は続いていることが診断基準となっています。
その他にも、
・吐き気、嘔吐
・げっぷ
・胸やけ
・胃があるのを常に感じる
・胃が重い
などの症状もでることがあります。
発症の原因は明らかになっていないですが、
▽精神的ストレス
▽消化管運動の異常
▽胃腸の知覚過敏
▽胃酸分泌異常
などが原因と考えられています。
最近では、細菌やウイルスによる感染性胃腸炎からの治癒後に発症する可能性があることも分かってきています。
〇症例
・40代 男性
・令和3年頃、機能性ディスペプシアと診断
〈症状〉
・寝る前の胃圧迫感 (昼間は胃圧迫感なし)
・むかむか
・ゲップが出る
・大きなゲップをするとマシになる
〈その他〉
・胃カメラ検査異常なし
・腹部に脹痛(張った感じの痛み)
・背部の第7胸椎(経穴:霊台)を中心に重痛(重だるい感じの痛み)
・食欲はある
・環境の変化、ストレスなどの影響は特になし
・令和6年に鶏カンピロバクターに感染後からビオスリーを服薬中
・漢方 六君子湯(リックンシトウ)服用中
〈鍼治療の経過〉
初回の治療では、
・両足三里
・右太衝
・左合谷
・両胃兪
上記への鍼灸治療を行った。
翌日(2回目)の治療時の問診では、
寝る前の気持ち悪い感じ、胃圧迫感が全くなかった。
ゲップも無くなり、良くなっていた。
3回目の治療時では、
3日に1回は症状が戻ってしまうが、
症状は治療開始前よりもマシになっていた。
ゲップは出なくなり、スッキリとしている感じがあった。
お腹の張りは続いていたが、4回目の鍼治療の数日後には症状の改善が見られた。
現在も治療を続け経過を見ている。